「前に治した歯が、また痛くなった」「何度も同じところを治療している」
そう感じたことはありませんか?
実は、歯の再治療にはいくつかの“隠れた原因”があります。
そしてその多くは、少し視点を変えるだけで防ぐことができます。
①根本的な原因にアプローチできていない
虫歯や歯周病は「結果」であり、そこには原因が必ずあります。
原因はもっと深いところ――たとえば、咬み合わせのズレやブラッシングの癖、歯並び・生活習慣などにあることも少なくありません。
痛いところを治すことはもちろん大切ですが、
その背景にある原因を見つけ、丁寧に整えていくことで“再発しにくい環境”をつくることができます。
たとえば当院では、初診時にお口全体のバランスを確認し、必要に応じて咬合(かみ合わせ)や歯周状態まで評価します。
「その歯だけ」でなく、「その歯が悪くなった理由」まで見つめることが大切だと考えています。
②治療のクオリティが結果を左右することも
歯の治療は、実はとても繊細な世界です。
ほんのわずかな虫歯の取り残しや、接着剤の扱い方、補綴物(被せ物)の精度の差が、数年後の状態に大きく影響します。
たとえば、
- 虫歯をしっかり取りきれていない
- 詰め物や被せ物の“精度”に小さなズレがある
- 根の中(根管)を肉眼でしか見ていない
こうした積み重ねが、知らないうちに再発のリスクを高めてしまうことがあります。
そのため、当院では拡大視野(ルーペやマイクロスコープ)を用いた精密治療を基本としています。
一つひとつの工程を丁寧に行うことで、「やり直しの少ない治療」「長持ちする治療」につなげていくことが可能になります。
③治療の「過不足」を見極める
治療は、“やりすぎても、やらなさすぎても”良くありません。
たとえば、歯を削りすぎれば将来的に脆くなり、
反対に虫歯を取りきれなければ、またそこから再発します。
理想は、「必要な分だけ、的確に行うこと」。
これは経験や診断力、そして患者さんとのコミュニケーションによって初めて成り立ちます。
治療の前に必ず「なぜ今この治療が必要なのか」を説明し、
患者さんにも納得していただいたうえで進めるよう心がけることが大切だと考えています。一方的に削る・詰めるのではなく、“共に治していく”治療が重要なのではないでしょうか。
④治療後のメンテナンスが何より大切
どんなに丁寧に治療をしても、その後のケアを怠ると再発してしまうことがあります。
実際、治療した歯の多くが「虫歯の再発」や「歯周病の進行」によって再治療となります。
そこで重要なのが定期的なメンテナンス。
歯科医院でのクリーニングや検査を通じて、早い段階で変化を見つけることができます。
また、磨き残しのチェックや生活習慣の見直しなど、日常のサポートも大切にしています。
「治療して終わり」ではなく、「治して守る」。
この考え方こそが、再治療を防ぐための最大のポイントです。
まとめ
再治療を繰り返す背景には、
原因へのアプローチ不足・治療の精度・治療方針のバランス・治療後のメンテナンス不足など、いくつかの要素が関係しています。
歯を長く保つためには、ただ“治す”だけでなく、
“なぜ悪くなったのか”を一緒に考え、“どうすれば再発しないか”を共有していくことが何より大切です。
「もう治療を繰り返したくない」と悩まれている方、ご参考にして頂けたらと思います。
2025年11月8日 10:33 PM | カテゴリー:臨床の話


